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3Dプリンター初心者からステップアップ!導入のメリットから選び方まで解説

初心者からステップアップ!3Dプリンター導入のメリットから選び方まで解説

3Dプリンターの導入を考えたときに、どのようなメリットがあるのか、デメリットがあるのかはおさえておきたいポイントです。また、3Dプリンターの選び方も重要ですが、最初につまずきやすいところでもあります。というのも、3Dプリンターによって、造形方式も異なれば、使える材料も異なるからです。

ここでは、3Dプリンターを自社に導入するメリット・デメリットから、適切な3Dプリンターを選ぶポイントまで、初心者向けにできるだけ簡単に解説します。

3Dプリンターを自社に導入するメリット・デメリット

3Dプリンターを自社に導入するメリットとデメリット

まず、3Dプリンターを自社に導入する場合、どのようなメリットやデメリットがあるのか確認しましょう。

3Dプリンターを自社に導入するメリット

3Dプリンターを自社に導入すると、試作品やテストパーツ、治具などを必要なタイミングで製作できます。これまでのように、金型を製作する必要がないため、少量生産の場合はコストや開発時間が大幅に削減され、急ぎの場合にも、柔軟に対応可能です。

また、従来の切削加工の場合、金型の製作前に、設計図が正しいかどうかを入念にチェックするなど、製作前の段取りに多くの工数が必要でした。一方、3Dプリンターを活用すれば、データ準備後、すぐに試作品を造形できるため、実物に近いものをさまざまな角度から検証可能です。必要に応じて追加工が必要な場合がありますが、一度に複数の試作品を出力できるメリットを生かして、プロトタイピングのスピードアップをはかることも可能です。この点においても、メーカー等の企業が3Dプリンターを自社に導入するメリットは大きいといえるでしょう。

さらに、3Dプリンターを導入することで、社内で試作品を内製化するノウハウが蓄積できます。そのうえ、外注会社に製品データを渡すこともないため、試作品の情報が流出することもありません。機密情報を厳密に管理できるのも、3Dプリンターを導入するメリットといえるでしょう。

3Dプリンターを自社に導入するデメリット

一方で、3Dプリンターを導入するデメリットもあります。まずは設備投資費用がかかることが挙げられます。

高性能・多機能な業務用3Dプリンターとなると、価格は数十万以上で、高いものだと1億円前後のモデルまであります。例えば、熱融解積層(FDM)方式や光造形であれば数十万円から、粉末焼結積層造形(SLS)方式ならば300万円から、金属パウダーベッド方式(PBF)方式なら1億円を超えるモデルもあります。

そのほか、「材料費」や「後処理用溶剤」などのランニングコストもかかってくるので、導入した際の使用頻度をあらかじめ想定した上で、導入を決めたほうがよいでしょう。

費用だけではありません。人材についても、専門知識を持つオペレーターを確保するか、もしくは、社内で基本的な知識から使い方、具体的な操作方法まで教育して育てる必要があります。そのほか、プリンターを設置するスペースの確保も含めて、導入後に慌てることのないように、プリンターのサイズと設置場所などのシミュレーションをしておくのがおすすめです。

3Dプリンターの選び方でおさえるポイントは「材料」と「造形方式」

適切な3Dプリンターを選択するポイント

適切な3Dプリンターを選択するにはどうすればよいのか。着目するべきは「材料」と「造形方式」です。それぞれ解説します。

材料から選択する

3Dプリンターによって造形物をイメージ通りに作るには、適切な材料を選ぶことが必要不可欠です。3D-FABsで取り扱っている材料は一般的によく使われているものばかりです。用途に応じて適切な材料を見極めるためにも、それぞれの特徴を比較してみましょう。

PLA(ポリ乳酸)樹脂

「PLA(ポリ乳酸)樹脂」は低温での造形が可能で、造形中の冷えによるひずみや反りが起きにくい材料ですが、高温には弱く、耐熱性や耐衝撃性には劣るという点には注意が必要です。主にFDM方式での造形でよく使われます。

ABS樹脂

「ABS樹脂」は高い耐衝撃性があり、強度があります。自動車の部品、プラモデル・フィギュアのパーツなど、可動機構を持たせたいものを造形する場合には、ABS樹脂がフィラメントに適しています。主にFDM方式での造形でよく使われます。また、光造形方式で使うレジンにはABS樹脂に近い物性を持つABSライク樹脂(アクリル樹脂)などの選択肢もあります。

カーボンコンポジット樹脂

「カーボンコンポジット樹脂」は、一般的にカーボンファイバーとエポキシ樹脂(または他のポリマー樹脂)という二つの主要な材料から構成される複合材料です。高い剛性と耐久性があるたため、自動車など軽量ながらも、硬くて耐久性のある部品の製作に向いています。主にFDM方式での造形で使われ、一部の機種ではチョップドファイバーではなく、長繊維カーボンファイバーを複合させた造形出力にも対応しています。また、SLS方式においても、ナイロン樹脂との複合造形が可能な場合があります。

ナイロン12

「ナイロン12」は優れた表面解像度をもつ、費用対効果の高いエンジニアリングプラスチックで、強度と靭性を併せ持ち、耐薬品性、耐衝撃性、優秀な低温特性があります。粉末焼結型の3Dプリンターで使用する場合はサポート材が不要となるため、プリンターの造形チャンバー内に縦方向へ部品を重ねてプリントする事ができます。3D-FABsでは、「PA12(グレー)ナイロン12」をご用意しています。

ステンレス鋼

「ステンレス鋼」は、鉄合金の一種で、クロムを主成分とし、耐食性が高い特徴を持つ材料です。クロムの添加により、酸化、腐食、錆に対して強い耐性を持ち、さらに強度も優れています。様々な金属3Dプリントの方式で出力が可能ですが、PBF方式でもよく使われ、SUS316だけでなく、SUS304でも造形できる場合があります。

アルミニウム合金

「アルミニウム合金」は、アルミニウムに他の元素を添加して強度や耐久性を向上させた金属材料です。軽量で耐食性があり、加工しやすいため、自動車、航空機、建築、電子機器、食品包装など多くの分野で広く使用されます。様々な金属3Dプリントの方式で出力が可能ですが、PBF方式でもよく使われます。

マルエージング鋼

「マルエージング鋼」とは、高温で加熱し、次に急冷処理するプロセス(焼戻し)を経て硬度と耐久性を向上させた特殊な鋼材料です。マルエージング鋼は工具、刃物、ベアリング、武器、航空機部品などの高耐久性が必要なものに使用されることが多い素材です。様々な金属3Dプリントの方式で出力が可能ですが、PBF方式でもよく使われます。

ニッケル基超合金

「ニッケル基超合金」とは主にニッケルをベースとし、クロム、鉄、他の合金化元素を含む金属合金です。高温、高圧、腐食、酸化環境に耐え、高温強度と耐久性があり、航空宇宙、エネルギー産業、化学プロセス、原子力発電所など、厳しい環境下で使用されています。様々な金属3Dプリントの方式で出力が可能ですが、PBF方式でもよく使われます。

造形方式から選択する

3Dプリンターでは、3D CADや3D CGのデータをもとにして、材料を一層ずつ積層していき、造形物を製作していくことになります。その造形方式にはいくつか種類があるため、適切な方法から3Dプリンターを選ぶこともできます。

金属3Dプリンターで最も多く使われているPBF(粉末床溶融結合)方式は、精度が高く、強度にも優れています。FDM(熱融解積層法)方式は、樹脂3Dプリンターと金属3Dプリンターの両方で使われている方式です。低コストで利用できるため、家庭用3Dプリンターでは、主流になりつつある方式です。

そのほか、光造形方式のひとつで、精度の高さが特徴であるSLA方式があります。また、造形表面にザラザラ感は残るものの、高精度かつ高強度な造形が可能なSLS(粉末積層焼結)方式があります。

適切な材料と造形方式の組み合わせを選択する

各造形方式には、向いている材料や、一つの造形方式でしか使えない材料もあります。どれでも自由に組み合わせられるものではないので、まず自分が作りたい造形物から、適した材料や造形方式をシミュレーションし、そこから適した3Dプリンターを絞り込んでいくとよいでしょう。

3Dプリンターの種類については「3Dプリンターにはどんな種類がある?造形方式や注意点を紹介」、「大型3Dプリンターとは?「3D-FABs」を使うメリット、できることまで解説」をご覧ください。

3Dプリンターでの製作プロセスを紹介

3Dプリンターの導入において、実際の造形プロセスは、選定と同様に見えにくい部分かもしれません。一連のステップを通じて、製品をデジタルデータから物理的な形状へと変換します。

最初に行うべきステップは、「3D CADソフトウェア」を使用して、製品の設計図に相当するデジタルデータを作成することです。次に、このデータを「STL形式(.stl)」に変換します。

STL形式のデータが用意できたら、3Dプリンターを動作させるための専用データ「造形ツールパスデータ」への変換を行っていきます。変換にあたっては、3Dプリンターごとに用意されている専用のスライスソフトを使います。このときに「温度」「積層ピッチ(造形時の1層あたりの厚み)」「充填率(造形物内部の密度)」「サポート材」や「土台の有無」などを設定します。

造形ツールパスデータへと変換したら、プリンターに読み込ませて、造形を行います。造形後には、工具を用いてサポート材を除去しますが、この後の処理が意外と手間がかかります。プリンターによっては自動でやってくれるものもあるので、購入の際には機器の性能をチェックしておきましょう。そして、研磨や塗装、メッキ処理などで仕上げ加工をして、フィニッシュとなります。

3Dプリンターのソフトについて「3Dプリンター用のソフトやサービスにはどんなものがある?」で、詳しく説明しています。

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3Dプリンターの選び方について、材料や造形方式の違いから説明しました。学べる見積サイト・3Dプリントソリューション「3D-FABs」では、6種類の機種と10種類の材料からウェブ上で適した組み合わせをシミュレーションできるので、はじめての業務用3Dプリンターのご利用でも安心です。

さらに、3D CADデータのシミュレーションで「適切な設計や造形姿勢は何か?」を探りながら、造形する際の注意点をレコメンドしてくれ、概算費用の試算もその場ですぐに分かります。

「3D-FABs」についてもっと知りたい場合は「学べる見積サイト・3Dプリントソリューション『3D-FABs』とは? その活用ポイントに迫る」、実際の操作については「『3D-FABs』を使えば、誰でも3Dプリンターのノウハウを学べるのか?? 初心者ライターが検証」をご覧ください。

また、オリックス・レンテックでは、出力サービスも行っています。3Dプリンターの扱いに不安がある場合も、熟練のスタッフがお手伝いするので安心です。気軽に実際の仕上がりも体験できますので、ぜひ「3D-FABs」の無料登録から、3Dプリンターの世界への第一歩を踏み出してみてください。

写真/Getty Images