3Dプリンターでアイデアを形に

3Dプリンターのサポート材の役割って何?最小限に抑えるメリットを解説

3Dプリンターのサポート材の役割って何?最小限に抑えるメリットを解説

3Dプリンターを導入するにあたって、注意しなければならないのが、サポート材です。サポート材は、3Dプリンターで造形を行うときに、重要な役割を果たしますが、造形後は取り除かなければならない、少々厄介なものでもあります。この記事では、どんな場合にサポート材が必要なのか、サポート材にどんな役割があるのか、サポート材を最小限に抑えるとどんなメリットがあるのか、説明していきたいと思います。

3Dプリンターのサポート材って何?

3Dプリンターのサポート材って何?

サポート材とは、3Dプリンターで造形を行う際に、造形物を支えるための材料です。サポート材を用いて、造形物のひずみや崩壊を防ぐための基盤や足場とします。

その一方で、造形後はサポート材を除去しなければなりません。造形物を美しく仕上げるためには、サポート材をできるだけ減らすことが重要となります。

サポート材が必要な方式とは?

サポート材が必要な方式とは?

サポート材が必要かどうかは、使用する3Dプリンターの方式によって異なりますので、事前に確認するようにしましょう。

PBF方式

金属3Dプリンターの中でも主流のPBF方式(パウダーベッド方式)は、金属粉末材料に熱源を照射し、層状に積み重ねて造形していきます。熱源が高温のため、造形物の熱による変形や歪みを防ぐために、サポート材が必要となります。

インコネルのような靱性が高く粘り気がある金属やチタン合金のような高強度な金属は、後処理の際に、サポート材を除去しにくいので、サポート材のつけ方にも工夫が必要です。

FDM方式

FDM方式(熱溶解積層方式)では、サポート材が必要になります。ノズルを通して材料のフィラメントを積層して造形物を形成するため、下から積み上げていく過程で支えが必要となるからです。

FDM方式の場合、造形する材料そのものをサポート材にする方法と、サポート材専用フィラメントを使用する方法の2つがあります。

光造形方式

光造形方式の場合は、液体または粉末状の材料を固化させるために光を使用します。固化される前の材料は比較的柔らかいものも多いため、サポート材を使用することでより安定した造形が可能です。造形物を美しく仕上げるためにも、サポート材の利用が望ましいでしょう。

主な光造形方式(インクジェット方式を除く)では、造形物とサポート材は同じ素材になります。後処理の手間も考慮して造形姿勢の工夫や材料の選定をしましょう。

粉末焼結方式

樹脂材料の粉末焼結方式(SLS)は、サポート材を必要としません。粉末焼結方式では、高出力のレーザー光線で、粉末樹脂を焼結することによって造形をおこないます。粉末のため比重が軽く、また積層した粉末自体がサポート材の役割を果たすため、サポート材で補強する必要がありません。

サポート材が必要な形状とは?

サポート材が必要な形状とは?

次に、造形物のどの部分にサポート材が必要なのか、サポート材で補う必要がある形状について説明します。

オーバーハング

オーバーハングとは、一部分が前に突き出して”ひさし”のような形となっている形状を指します。Y字の場合は、屋根の傾きが45度を超える場合にサポート材が必要となります。T字の場合は屋根の傾きが90度になるため、サポート材をつけなければ、空中の部分を支えきれなくなってしまいます。

ブリッジ

ブリッジとは、橋のような形状のことをいいます。橋の箇所が垂れ下がらないよう支えるために、サポート材が必要となります。

造形物に穴をあける場合には、その部分をサポート材で補強します。穴を形成するためにサポート材を使用し、固めた後に穴をくりぬく必要があります。
穴の大きさによっては、サポート材無しでも造形できる場合がありますが、デザインツールやスライスソフトの注意に従って設計しましょう。

以上、サポート材が必要となる形状について、ご紹介しました。加えて、気をつけたい点は、サポート材を除去する処理です。薄肉部分や細かい造形があると、サポート材を除去する際に破損する恐れがあります。よりキレイな仕上がりを目指すために、あらかじめサポート材を除去することを考慮して造形物のデータを作りましょう。

サポート材を最小にするメリット

サポート材を最小にするメリット

造形物を支えるサポート材は、できる限り少なくなるように工夫することをおすすめします。サポート材を最小限に抑えるメリットについて解説します。

コストが削減される

サポート材の材料費は決して安価ではありません。サポート材をつける分だけ追加の材料が必要となるため、使用量が少なければコストを抑えられます。

印刷時間の短縮

不要なサポート材を減らすことで、サポート材の分の造形時間を短縮できます。特に短納期のプロジェクトでは、造形工程の効率化が重要です。

後処理が簡単になる

サポート材の除去作業には手間がかかるため、最小限に抑えることで後処理の工程を減らすことができます。造形後、サポート材は工具を使って外していかなければなりません。特に、複雑な形状や内部構造の造形物は大変なので、少ないサポート材の設計にしておくことで、除去作業を迅速化し、作業工程の効率を向上できます。

また、樹脂3Dプリンターで使えるサポート材の中には、手で簡単に剥がせるものや、水溶液で溶かせるものもあります。サポート材を最小にする工夫の他に、後処理が楽なサポート材を選ぶことでも、作業の効率化と制作期間の短縮につながります。

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写真/Getty Images