3Dプリンターでアイデアを形に

業務用3Dプリンターの値段は高い?選ぶポイントや導入にかかる費用を紹介

業務用3Dプリンターの値段は高い?選ぶポイントや導入にかかる費用を紹介

一口に「3Dプリンター」といっても、家庭用から業務用までさまざまな種類があります。企業が3Dプリンターを導入する際には、どのくらいの価格帯のものを検討すればいいのでしょうか。また、3Dプリンター本体の価格以外には、どんな費用がかかるのかも気になるところです。3Dプリンター本体を選ぶときのポイントも含めて、この記事で解説します。

3Dプリンターの価格はどのくらい?

3Dプリンターの価格はどのくらい?

3Dプリンター本体は一般ユーザー向けの「家庭用」のものか、企業向けの「業務用」かによって、価格が大きく変わってきます。

3Dプリンターの代表的な様式には次のようなものがあります。

金属では、敷き詰めた金属粉末にレーザーや電子ビームを照射して、溶かして固めながら造形する「パウダーべッド(PBF)方式」です。

樹脂では高温の熱で樹脂を溶かしていき、ノズルから排出させながら、一層ずつ重ねていく「熱溶解積層(FDM)方式」や紫外線の照射により硬化する特殊な樹脂素材(レジン)を用いて、一層ずつ造形していく、「光造形方式」があります。さらに樹脂粉末が敷き詰められたプリンター内に、赤外線レーザーを使って高温で粉末を一層づつ焼結して造形する「粉末焼結積層造形(SLS)方式」などが広く使われている造形方式です。

熱溶解積層(FDM)方式は、3Dプリンターのなかでも基本的な設定や操作が比較的簡単です。また他の造形方式に比べて低価格で入手可能なため、教育現場や趣味など多くの場面で使用されています。初心者でも使いやすい家庭用FDM方式の3Dプリンター本体価格は5万~20万円程度です。

その一方で、業務用の3Dプリンターとなると、価格は数十万円以上で、高いものだと1億円前後のものまであります。例えば、SLS方式ならば300万円~1億円程度、金属PBF方式ならば1000万円~3億円程度になります。
3Dプリンターの機器によって、造形できるサイズも違えば、造形にかかる時間も変わってきます。また、精度の高さや扱える材料のバリエーションなどにも違いが出てきます。

3Dプリンターを選ぶポイント

3Dプリンターを選ぶポイント

業務用3Dプリンター本体について、価格や種類にこれだけの幅があると、どれを選べばよいのか、わからなくなってくるかもしれません。3Dプリンターを選ぶポイントは、下記の2つです。

作りたい造形物のイメージを固めて要件を明らかにする

造形物にどのくらいの精度や耐久性が必要なのかによって、選ぶべき3Dプリンターは変わってきます。一般的に、数十万円未満の家庭用ローエンドモデルの3Dプリンターであれば、造形物に粗さが残ったり、耐久性が劣っていたりすることもありますが、業務用のミドルレンジモデルの数十万~数百万円の価格帯の3Dプリンターならば、積層ピッチが細かく、家庭用ローエンドモデルの3Dプリンターと比較すると、粗さが目立ちにくくなります。数百万~数億万円の業務用ハイエンドモデルだと、積層ピッチの調整が可能な場合もあるので、より美しく仕上げることができます。また、造形エリアも広くなるため、大きな造形物も作成できるようになります。

材料についても、家庭用のローエンドモデルの3Dプリンターの場合、選択肢が限られてしまいがちですが、業務用のミドルレンジモデルの3Dプリンターならば、耐久性のある材料も使えるようになります。さらに、業務用のハイエンドモデルのものならば、特殊な材料もカバーできていることが多いでしょう。

3Dプリンターの置き場所の観点から検討する

意外と見落としやすいのが、3Dプリンター本体の置き場所です。大まかにいえば、数十万円未満の家庭用ローエンドモデルの3Dプリンター本体は、小さく卓上でも使えるものが多い傾向があります。業務用のミドルレンジモデルの場合は卓上サイズだけではなく、50~60リットル程度の冷蔵庫サイズのプリンターもあります。

業務用のハイエンドモデル3Dプリンターになると、幅3メートルのものもあります。あらかじめ3Dプリンターの置き場所を決めておいて、そのスペースに置けるサイズの3Dプリンターを選ぶといいでしょう。
また、3Dプリンターには本体以外にも付帯設備が必要になってきます。例えば、光造形方式では二次硬化UV照射装置や洗浄タンクが必要ですし、SLS方式では粉末の回収機やふるいなどが必要になってきます。装置の設置には付帯設備以外にも部屋の工事が必要になってくる場合ありますので、導入にあたってはスペースの確保も検討しましょう。

3Dプリンター本体以外にも費用がかかる

3Dプリンター本体の価格ばかりに気をとられがちですが、それ以外にもランニングコストがかかります。詳細を見ていきましょう。

材料費

造形するための「材料費」はランニングコストの代表例といえるでしょう。造形の途中で材料が不足してしまわないようにストックを準備しておきましょう。

後処理用溶剤

主に光造形方式と熱溶解積層(FDM)方式では、造形物に付着しているサポート材の除去や洗浄に使用する「後処理用溶剤」を用意する必要があります。また廃液処理にも費用がかかります。

3Dプリンターの消耗品

フィラメントを使用する熱溶解積層(FDM)方式では、フィラメントの詰まりを防ぐために、「押出ノズル」や「ベースプレート」など造形に必要なパーツの定期的なメンテナンスや交換が必要になります。また、粉末焼結積層造形(SLS)方式やパウダーべッド(PBF)方式では、新しい層の粉末の供給を効率的に行う「リコーター」や「フィルター」なども消耗品となります。

年間保守料

初年度は本体価格に含まれていることが多いですが、次年度以降は別途年間の保証料が必要となりますので、注意しましょう。

人材育成費用

取扱説明書を読むだけでは理解が難しい場合、3Dプリンターの特性を理解したオペレーティングができる人材の育成や3Dプリンターに適した図面を作成できる人材を育成する費用がかかります。さらに、3Dプリンターに適した図面を作成するには人材育成費だけでなく、3D CADなどのソフトウエアの利用にも費用が必要になります。
 

3Dプリンターの本体を購入してからも、3Dプリンターを使い続けるにあたって、さまざまな費用が発生します。価格が高いものほど性能は高くなる傾向です。また、操作に専門的な知識が必要となったり、ランニングコストがかかったりします。

さまざまな業務用3Dプリンターの造形費用を比較するなら、3D-FABs

欲しいのは、部品よりノウハウだ。3Dプリントのシミュレーション・価格試算をデジタル化。3D-FABsへ

機器によってかなり価格に差がある3Dプリンターについて、どのような点から選ぶべきかを解説しました。実際の導入に至るまでに、さまざまな角度から検討しておく必要があると、おわかりいただけたかと思います。

学べる見積サイト・3Dプリントソリューションである「3D-FABs」では簡単に、さまざまな材料や造形方式をシミュレーションできます。条件を変えながら、概算費用や納期までの日数を比較検討することができます。

また、オリックス・レンテックでは、3Dプリンターを利用した造形サービスも行なっています。業務用3Dプリンターを購入するまえに、ぜひ一度造形費用の正式見積をもらって、造形出力サービスを利用してみませんか。現在想定している造形物の制作以外にも、素材や形状の違う造形物を作る際には、3Dプリンターの扱いに慣れている技術者が出力しますので、3Dプリンターの扱いに不安がある方も安心です。

造形物の仕上がりを確認し、一連の作業を把握できると、どのような3Dプリンターを選ぶべきなのかが固まってくるはずです。まずは3D-FABsでシミュレーション、試算をぜひお試しください。

写真/Getty Images