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金属3Dプリンターでアルミ素材を使いこなす!特性や造形時の留意点を解説

金属3Dプリンターでアルミ素材を使いこなす!特性や造形時の留意点を解説

金属3Dプリンティングは、製造業に革新をもたらす技術として注目されています。

この記事では、金属3Dプリンターでアルミニウム合金を使う際の特徴、メリット・デメリット、適用される造形方式、および造形時の留意点について詳しく解説します。

 

アルミニウム合金の特徴

アルミニウム合金の特徴

アルミニウム合金は、軽さと強度のバランスに優れ、航空宇宙産業や自動車産業など多くの分野で重宝されている素材です。

また、優れた熱伝導性と電気伝導性を持ち、これらの特性は電子機器や熱交換器の部品製造にも有効とされています。

金属3Dプリンターで使用できるアルミニウム合金

金属3Dプリンターで使用されるアルミニウム合金には、AlSi10MgやAlSi12があります。

AlSi10Mg

AlSi10Mgはシリコンとマグネシウムを添加したアルミニウム合金で、鋳造性に優れているほか、加工後に熱処理を施すことで強度を高められる熱特性を持っています。この合金は特にパウダーベッド方式(PBF)で使用され、主な用途としては自動車や航空部品が挙げられます。

AlSi12

AlSi12はAlSi10Mgよりも高いシリコン含有量を持つ合金で、複雑な内部構造を持つ部品の3Dプリンターに適しており、特に高温での使用が想定される部品に利用されています。

これら金属3Dプリンターにおけるアルミニウム合金の使用は、従来の製造方法では困難だった複雑な形状や軽量構造の部品の製造を可能にしています。

アルミニウム合金のメリット

アルミニウム合金のメリット

金属3Dプリンターの素材として、アルミニウム合金を用いるメリットを解説します。

強度と軽量性

アルミニウム合金の最大のメリットは「高い強度」と「軽量性」です。強度を損なうことなく堅牢な構造を実現できるこの特性は、多くの工業分野に不可欠です。

特に航空宇宙や自動車産業で重宝され、その軽量性は燃費改善やエネルギー効率の向上に寄与しています。

優れた熱伝導性

アルミニウム合金は熱を素早く伝導するため、効率的な冷却や熱管理を実現できます。この特性を持つ素材は、熱交換器や冷却装置の製造に理想的とされています。

耐食性

アルミニウム合金は酸素との反応を防いだり、腐食に強かったりする性質を持っています。この特性により、様々な環境下で安定した性能を発揮できるため、海洋設備や化学工業などでも使用されています。

リサイクル性

アルミニウム合金は再生可能な素材です。そのリサイクル性は、資源の効率的な利用や環境負荷の低減を促進し、サステナビリティを追求する循環型経済の構築に寄与します。そのため、環境負荷を考慮した製品に使用されることも多くあります。

アルミニウム合金のデメリット

アルミニウム合金のデメリット

アルミニウム合金は多くの利点を持つ一方、いくつかのデメリットもあります。

摩耗に弱い

アルミニウム合金は他の金属に比べて軟らかいため、表面に傷がつきやすかったり、摩耗しやすかったりするデメリットがあります。この特徴により、摩耗が予想される環境や、大きな機械的負荷がかかる用途には不向きとされています。

耐熱性

アルミニウム合金は融点が低く、高温になると強度や硬度が低下します。そのため高温環境での使用は難しい素材です。

高強度アルミニウム合金

ここまで紹介してきたアルミニウム合金のデメリットを克服し、その特性を強化するため、多様な「高強度アルミニウム合金」が開発されています。

これらの合金は、アルミニウム合金に他の金属元素を添加してアルミニウム合金の軽量性を保ちつつ強度や耐熱性を向上させることで、航空宇宙や自動車産業の厳しい性能基準に適合する部品の製造を可能にします。また、精密な製造プロセスに適した設計で、高品質な部品の製造が可能です。

さらに、「高強度アルミニウム合金」は、金属3Dプリンターの可能性を広げ、先進的な製品開発を推進する重要な材料として注目されています。

アルミニウム合金を使う造形方式

アルミニウム合金を使う造形方式

3Dプリンターでアルミニウム合金を素材として使用する際の造形方法を解説します。

パウダーベッド(PBF)方式

パウダーベッド(PBF)方式は、金属3Dプリンターの代表的な技術の一つで、レーザーや電子ビームを使用して金属粉末を層状に積み上げる方式です。

この方式は精度が高く複雑な内部構造や空洞を持つ部品の製造に適しており、航空宇宙、自動車、医療機器などの分野で広く利用されています。特にアルミニウム合金やチタンなどの難溶融金属の造形に有効で、製造後の部品の強度と仕上げの精度の両方を実現します。

レーザー

レーザーを用いたパウダーベッド(PBF)方式は、高精度のレーザーで微細なアルミニウム粉末を層ごとに溶融し、固めていきます。

その特徴として、精密で複雑な構造の造形物を製造できることが挙げられます。また、サポート構造が不要なケースも多く、後処理が容易のため、製造時間とコストの節約に寄与します。

航空宇宙、自動車、医療機器など、軽量で高強度の部品が求められる分野において、レーザーを用いたパウダーベッド(PBF)方式は重要な役割を担っています。

電子ビーム

電子ビームを用いたパウダーベッド(PBF)方式は、高出力の電子ビームでアルミニウム粉末を層ごとに溶融し、固める技術です。

レーザーより高いエネルギー供給で高速造形を可能にし、生産効率を向上させることから、大規模部品や高熱伝導性が求められる場面に適するとされています。

また、粉末の予熱により歪みの少ない部品製造が可能とされており、高性能部品が求められる分野で重宝されています。

アルミニウム合金で造形する際に留意するポイント

アルミニウム合金で造形する際に留意するポイント

アルミニウム合金の特性を踏まえ、3Dプリンターで造形する際に留意すべきポイントを紹介します。

造形温度

金属3Dプリンターの素材としてアルミニウム合金を用いて造形する際、造形温度の適切な管理は非常に重要です。

温度設定はアルミニウム合金部品の品質、特に機械的特性や寸法、精度に大きく影響するため、不適切な設定は歪みを引き起こす原因になります。

アルミニウム合金を用いた高品質な部品製造においては、素材の溶融点を考慮した適切な温度制御と、使用する合金の特性に基づいた温度設定が求められます。

造形姿勢

アルミニウム合金を用いた3Dプリンティングにおいて、造形姿勢は歪みを最小限に抑えるために重要な要素です。特に複雑な形状の場合、造形方向の最適化が必要となります。

以上のように、金属3Dプリンターでアルミニウム合金を扱う際には、その素材特性を理解し、適切なパラメータの選択が求められます。

アルミニウム合金による金属3Dプリンティングの可能性

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本記事で紹介したように、金属3Dプリンターにおけるアルミニウム合金の使用は、その軽量性と高強度を生かした製造分野で大きな可能性を秘めています。一方で、金属3Dプリンターでアルミニウム合金を扱うには、特に造形温度と造形姿勢の管理が重要です。素材特性をきちんと理解し、適切なパラメータを設定するようにしましょう。

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写真/Getty Images