3Dプリンターでアイデアを形に

BLT社の魅力を徹底解説。金属3Dプリンティングによる大型造形の可能性がもっと広がる

BLT社の魅力を徹底解説。金属3Dプリンティングによる大型造形の可能性がもっと広がる

オリックス・レンテックは、2023年に日本で唯一(※1)、BLT社(Xi’an Bright Laser Technologies Co., Ltd.)の金属3Dプリンターおよび周辺機器の国内販売権を取得しました。BLT社は、3Dモデルデータを基に、材料を結合して造形物を実体化するAM(Additive Manufacturing; 付加製造)会社として、世界規模で展開する金属3Dプリントのトータルソリューションプロバイダーです。2011年に設立された同社は、中国陝西省西安市に本社を置き、金属3Dプリンターの製造・販売、金属部品の出力サービス、金属粉末の製造・販売、そしてDfAM(Design for Additive Manufacturing; 「積層造形法」を用いた設計手法)およびコンサルティングが主な業務となっています。
(※1)2024年8月時点

この記事は、BLT社製金属3Dプリンターのサービスを紹介する全2回の連載の1回目。今回は、BLT社とその金属3Dプリンターが持つ魅力などについて、オリックス・レンテック株式会社 事業戦略本部 事業開発部 3Dプリンター事業推進チームの渡邊正和さんと彭云(ホウ・ウン)さんに解説してもらいました。

中国に500台以上の金属3Dプリンターを保有。最大1,500mmサイズの大型造形も可能

中国に440台以上の金属3Dプリンターを保有。最大1,500mmサイズの大型造形も可能

BLT社の中国工場

BLT社の強みは、その高い技術力と多様なサービスにあります。

「BLT社は2011年の創業以来、金属3Dプリンターに特化した研究開発、生産を行ってきていますので、非常に多くのノウハウを蓄積しています。また、中国本社に500台以上の金属3Dプリンターを保有しており、造形サービスをご利用のお客さまのニーズに迅速に対応できる生産体制が整っています。さらには、最大1,500×1,500×1,200mmと大型造形も可能です。他には、競合他社のほとんどが展開していない、コンサルティングサービスを持っていることも強みといえるでしょう」(彭)

アジアで唯一、AIRBUS社向けAM部品認証も

マネジャーの彭云さん

BLT社製金属3Dプリンターで作った自動車関係で使用されるトポロジー最適化部品の説明をするオリックス・レンテック 事業戦略本部 事業開発部 マネジャーの彭云さん

そもそも、金属3Dプリンターにはどのような特長があるのでしょうか?

「金属3Dプリンターは航空宇宙、自動車、医療などの専門的な産業で広く利用されており、チタンやインコネル、ステンレススチールなど多様な金属材料で複雑な形状を高精度に造形できる点が、大きな特長です。軽量化を目的とした中空構造の造形が容易で、大型部品の一体造形も可能なので、鋳造など従来工法に比べて納期の短縮やトータルコストの削減が期待できます」(彭)

その上で、BLT社の金属3Dプリンターは、以下のような多くの利点と強みを持っています。

●    AIRBUS社向けAM部品認証:BLT社はアジアで唯一(※2)、AIRBUS社向けのAM部品認証を受けており、高水準の品質管理が証明されています。
(※2)AIRBUS社「AIRBUS APPROVAL SUPPLIERS LIST」(2024年2月版)

●    高精度:欧米の主力メーカーの金属3Dプリンターと比べても遜色ない精度を、より安価に実現できる場合があります。

●    量産対応:中国には出力サービス用の金属3Dプリンターを500台以上保有しており、部品量産にも対応できます。

●    大型造形対応:粉末状の金属材料を一層ずつ溶融・積層して造形するパウダーベッド(PBF)方式での金属造形で、最大1,500mmサイズまで対応可能です。

●    自社製造材料:チタン合金とインコネルの材料粉末を自社で製造しており、品質管理が徹底されています。この材料を自社製造する取り組みが、AIRBUS社の認証獲得にもつながっています。

BLT社製金属3Dプリンターで作った自動車のタイヤ金型

BLT社製金属3Dプリンターで作った自動車のタイヤ金型

「BLT社はこれまで、多くのプロジェクトで成功を収めています。その一例として、航空宇宙産業向けの軽量部品の製造が挙げられます。従来の製造方法では不可能だった複雑な形状の部品の製造を、BLT社の金属3Dプリンター技術を用いることで実現しました。また、自動車業界向けでは、タイヤ金型の製造や開発プロセスの効率化とコスト削減を実現しています。さらに最近では、金属粉末の製造能力を強化するための新工場建設に着手しました。これにより、金属粉末の供給がさらに安定し、品質管理が強化されることが期待されています。新工場は持続可能なエネルギーを使用することで、環境に配慮した生産体制も整えています」(彭) 

BLT社製金属3Dプリンターのほとんどのサービスを提供できるのは、国内でオリックス・レンテックだけ

主任の渡邊正和さん

オリックス・レンテック 事業戦略本部 事業開発部 3Dプリンター事業推進チーム 主任の渡邊正和さん

オリックス・レンテックは、BLT社の多様な金属3Dプリンターをラインアップしており、装置の販売・導入、出力サービス、実機検証サービスを中心に、お客さまのニーズに応じたソリューションを提供します。

「日本でのBLT社製金属3Dプリンターの販売権は、今のところ当社だけが取得しています。当社では、BLT社での造形サービスや、金属粉末の販売、お客さまに対するコンサルティングサービスなど、BLT社の提供するほとんどのサービスを日本国内で展開しています」(渡邊)

コンサルティングサービスの主な内容としては、金属3Dプリンターで造形するために適したデータの作成が挙げられます。

「お客さまが用意したモデルデータが、実際に金属3Dプリンターで作るのに適していない場合があるため、そうしたデータの修正提案も含みます。また、金属3Dプリンターの知識をお持ちでないお客さまの場合にも対応しており、以前『靴を作りたい』というご相談をいただいた際には、ゼロから金型の設計をしたこともあります」(彭)

さらに、装置導入後の保守サービスも充実しており、定期点検や故障対応などのサービスを提供しています。

これまで造形サイズや材料の問題で3Dプリンターの利用を諦めていた部品造形のアイデアも、BLT社の技術を用いることでアイデアを形にできる可能性があります。パウダーベッド(PBF)方式による大型造形やタングステンや銅をはじめとする、金属3Dプリンターでの造形難易度の高い金属材料の対応が可能なため、より多くの業界での応用が期待されています。

「最大1,500×1,500×1,200mmという大きな金属部品を造形できます。すでに人工衛星のパネルや、自動車の中に入っているフレームやカスタムパーツを作ってきた事例があります」(渡邊)

お手元の3DCADデータでまずは試算・造形シミュレーションを

ここまで紹介したように、BLT社の技術は、産業界全体に大きな変革をもたらしており、BLT社の技術を導入する企業の競争力を向上させていることが伺えます。

BLT社の高度な金属3Dプリンター技術と、オリックス・レンテックのトータルサポートが合わさることで、日本の製造業に新たな可能性が広がることが期待できます。

オリックス・レンテックは、装置の販売・導入だけでなく、出力サービスや実機検証サービスを提供しており、お客さまの多様なニーズに応えられる体制を整えています。特に、製造業界は試作品の迅速な製造や小ロット生産が求められており、BLT社の技術とオリックス・レンテックのサポートは、そのニーズに的確にお応えできるはずです。

また、オリックス・レンテックの提供する3Dプリントシミュレーションサービス「3D-FABs」なら、お手持ちの3DデータですぐにBLT社の金属3Dプリンターによる出力サービスの試算や造形シミュレーションが可能です(対応機種はBLT-S320,S400の2機種)。

興味のある方は、ぜひ3D-FABsで造形シミュレーションを試してみてはいかがでしょうか。また、実機検証サービスへのお問い合わせもお待ちしております。

※本コラムは2024年8月現在のデータ等に基づいて作成しています。

欲しいのは、部品よりノウハウだ。3Dプリントのシミュレーション・価格試算をデジタル化。3D-FABsへ